中山栄治「私の一冊」

かみさんのこと理不尽だと思ったことありませんか。

黒川伊保子 「妻のトリセツ」 講談社+α新書

いつもイライラしている、口調がきつい、いきなりキレる、急に怒り出す、何をしても怒られる、口をきかない、無視される、夫の人格を否定する。皆さんご経験ありませんか。  私たちのどこがいけなかったのでしょうか。

日本一の亭主関白である私から、今日は思い切って、理不尽な妻との上手なつきあい方をお教えいたします。なんて、そんな怖いこと言えませんので、代わって教えてくれる本をご紹介します。

女性作家ですが、黒川伊保子さんの「妻のトリセツ」講談社+α新書から出版です。この本は160頁のさらっと読める新書としては異例の35万部を売り上げており、世の男性はもちろん女性からも大反響を得ているそうです。

まずは、著者のご紹介です。作者の黒川さんは脳科学専門家です。長野県生まれで年齢は未公表です。国立の奈良女子大学理学部物理学科を卒業。富士通の関連会社で人工知能の研究に従事された後、コンサルタントとして独立。多くの商品名やマーケティング戦略をを手がけ、その傍ら著作活動もされています。人の思考や行動をユーモラスに語るベストセラーも多く、「英雄の書」「女は覚悟を決めなさい」「母脳」は脳科学をもとに人生を切り開く方法をわかりやすく説くことで多くの世代から共感を得ています。

そんな黒川さんの本書は、タイトルのとおり、脳科学の立場から、妻の不機嫌や怒りの理由を前提に、夫の妻に対する対策をまとめた妻の取扱説明書、略してトリセツです。要は、「夫という役割をどうこなすか」をいわばビジネス戦略としてとらえてきちんと理解する。それによって家庭内平和をゲットしようという指南書なのです。実は、家庭という最大のプロジェクトの鍵は夫が握っているのです。従って、脳科学をベースにして戦略を立てて妻のネガティブトリガーを減らし、ポジティブトリガーを増やすことを心がけなければなりません。普段、我々が家庭内で何気なく口にしているせりふ、もちろん悪気なんかこれぽっちもありません。しかし、妻はそれを理解してくれません。そんな、夫が口にしてはいけない禁断の5大せりふを本書から引用してみましょう。

1 「だったらやらなくていいよ」家事が大変だと訴える妻に言うと、君がいつもやっていることは僕にとってはそれほど重要ではない、やらなくても気にならないと聞こえる。

2 「つまりこういうことだろ」愚痴に対しては、「わかるよ、大変だね」と共感するだけで十分。頼んでもない要約や解決策の提示は妻の余計なストレスを増やすだけ。

3 「おかず、これだけ」夫が自分が食べるご飯の量に対してのおかず量の塩梅を、あらかじめ計るために聞いた一言であったとしても、「たったこれしかないの」と聞こえる。

4 「今日何してたの」家事が思うようにできなかった妻には、「一日家にいて家事も満足にできないのか」と聞こえる。

5 「いいなあ君は、一日子どもと一緒で」それが何より辛いと感じている妻もいる。そういう自分を責めたりもする。

という感じでごく日常の中で、妻に対する対応を理解しようとしないがために妻の逆鱗に触れることとなることが多いのです。本書はそんな私たちがどうすればいいのかについて、理を尽くして指南してくれます。

本書によれば、実は脳科学的に「いい夫」とは時に妻の雷に打たれてくれる夫のことなんだそうです。女性脳は家事、育児を片づけるため、生活の中でホルモンバランスを崩し、ストレスが半端じゃありません。妻はこの溜まったストレスを気持ちよーく放電させてくれる先を探しているのです。妻にとって夫とは一番腹が立つ存在なのです。だって、それは夫が彼女の脳の中で最も高い場所にいるから、もっとも期待し、もっとも求めている相手だからなのです。 つまり理不尽な怒りの正体とは?それは妻の夫に対する愛だったのです。

いかがでしょうか。

私の自称亭主関白仲間が家庭内平和の秘訣として「かみさんのかみはゴットの神だと思え」と言っています。夫は所詮人間であって神に逆らうことはできないのだから、100%服従するしかないのです。夫って悲しい生き物ですね。

本日、ご紹介したの黒川伊保子さんで「妻のトリセツ」講談社+α新書はから2018年6月21日発刊、ソフトカバーでさらっと読める160頁、864円でした(了)。

弁護士 中山 栄治

私の一冊について

福岡県弁護士会所属 弁護士 中山栄治が、日々の読書感想やゴルフ体験を綴ったコラムです。